虐待の突きつけも大事だけど、「じゃあ、代わりにどうしたらいいか。」はセットで提示。
多くの親は、子育てに一所懸命です。責任感もあります。
だからこそ、うまくいかなくなった時は、子供のために、責任を持ってしつけようとして、手を上げてしまうのです。
多くの親は、自分の子供を持つまでに、赤ちゃんや幼児さんと生活をともにしたことがありません。抱っこしたこともありません。あるいは、触れ合ったこともありません。
でも、赤ちゃんが生まれた瞬間から、<親>とみなされ、責任を負わされます。
けっこう、孤独なものです。
それでも、責任を果たそうと、社会の期待に応えようと、しつけを一所懸命して、手を上げてしまいます。
勢い余って子どもを傷つけてしまうその行為は、虐待と呼ばれます。
せっかく自分たちなりに悩み、考え、試行錯誤して、助けもされずにやってきたのに、突然現れた児童相談所の職員からは、「あなたの行為は、虐待です」と言われてしまっては、憤慨しますよね。
児童相談所の職員も、虐待を言わざるを得ない状態は、大変つらいものです。
虐待を受けている子どもをみるのも、つらいです。
虐待をしている親に、虐待だと言い渡すのも、つらいです。
でも、誰かが言わないと、その行為は止まないし、次へ進めないのです。
ただし、ただ単に「虐待です」と言われるだけでは、親にとっては単に責められただけで、何も変わりません。むしろ事態は悪化するかもしれません。
何度も言いますが、親は自分たちなりに悩み、考え、試行錯誤して、助けもされずにやってきたのです。
だから、親御さんの気持ちや状況を汲み取って、「じゃあ、代わりにこういうことをしてみましょう。」という提案を、セットで言わなければなりません。
児童相談所は、親を責めるためにあるのではありません。
親を救うため、助けるため。
その結果として、子どもの健やかな育ちを保障するため。そのためにあるのですから。